2019参議院選挙(比例区)

参議院議員選挙比例区は、投票用紙に立候補者の氏名(個人票)または政党(「参議院名簿届出政党等」)の名称(政党票)を記載して投票します。当選者は、①各々の政党ごとに政党票と所属する各候補者の個人票とを合算し、定数をドント式比例配分により各政党の当選人数として割振り、②各政党内で個人票が多い順に当選人数までをその政党の当選者とします。ただし、あらかじめ各政党で「特定枠」とした候補者は、②で個人票にかかわらず優先的に当選となります。

それでは、今回の参議院選挙比例区で、政党票、個人票はどのようだったのでしょうか。下の表をご覧ください。

この表は、各政党(議席を得た政党)ごとに獲得した個人票の多い順に候補者を並べたものです。最左欄に個人票の数字(単位:万票、端数切捨て)を記載しています。黄色セルは当選者、グレーセルは落選者です。また、赤字は現職、青字は選挙区からの鞍替え現職、緑字は元職、黒字は新人です。

それでは、各政党の総得票(政党票+個人票)、政党票の割合、所属各候補者の個人票と当落をみてみます。一目見て、各党の個人票による当選ラインが異なることがわかります。

政党票の割合が最も多かった共産党(90.3%)は、知名度のある小池晃さん(個人票15万票)を除けば、個人票3‐4万票で当選しています。候補者個人より政党が重視されていることがわかります。
日本維新の会も政党票の割合が85.9%と高く、知名度のある鈴木宗男さん(個人票22万票)を除けば、個人票5-8万票で当選しています。政党名が浸透しているようです。
共産党と同じく「組織選挙」の政党といわれる公明党は、意外にも政党票の割合が小さくなっています(65.5%)。地域割りでの個人名の浸透に力を入れているためでしょうか、重点候補の個人票が18-59万票と高い水準にあります。一方で、重点候補ではなかった塩田博昭さんは個人票1万票で当選しています。
国民民主党も政党票の割合が小さくなっています(62.4%)。支援労組の組織内候補者は個人票14-26万票を獲得していますが、総得票が少ないため、他政党に比べて個人票が多くても落選する、という現象が起きています。石上俊雄さん19万票、田中久弥さん14万票で、後述の山本太郎さんに次ぐ高得票落選です。政党票の獲得拡大が今後の課題になりそうです。
同じく労組の支援を受ける立憲民主党は、各組織内候補者の個人票は国民民主党に比べ低いレベル(10-15万票)にありますが、政党票(84.5%)に助けられて当選となっています。いわゆるタレント候補では、須藤元気さん(7万票)は当選、市井紗耶香さん(5万票)は落選と明暗が分かれました。他のタレント候補は個人票は2万票程度で、集票に貢献したかどうかは疑問の残るところです。
代表の山本太郎さんの知名度で引っ張るれいわ新選組の政党票の割合は53.7%で、総得票の4割以上が山本さんの個人票(99万票)です。山本さんは高得票で落選となりましたが、れいわ新選組は特定枠を使っているので致し方ないところです。仮に、特定枠を使っていなければ、山本さん以外は2万票で当選となったでしょう。
党首の立花孝志さんのパフォーマンスが話題になったNHKから国民を守る党は、逆に政党票の割合は85.1%で政党票が主力(立花さんの個人票13万票)と対照的な結果になっています。
自民党の個人票の当選ラインはさすがに高く13万票、政党票の割合が71.7%と中ぐらいですが、個人票も稼がないと当選できません。
社民党も同様に政党票の割合が72.7%で、当選ラインが14万票となっています。

野党では、れいわ新選組、NHKから国民を守る党を除けば、大きな特定組織の支援がない個人票は多くて10万票、タレント候補でも2-5万票にとどまっています。与党の自民党・公明党で当選を目指すには個人票は少なくとも10万票以上というところを考え合わせると、現在のところ、特定の支援組織による個人票が大きな役割を果たしているといえます。れいわ新選組やNHKから国民を守る党のように特定の支援組織のない政党が、今後どのように選挙を重ね勢力を拡大していくのか、注目していきたいと思います。

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