2019/8/19
ここへ来て、菅官房長官の存在感が大きくなっている。
小泉進次郎衆院議員の官邸における結婚報告は、安倍総理ではなく菅官房長官に最初にアポを取ったということになっている。人気者の小泉氏が慕っているとなれば菅氏の人気もアップし、小泉氏は菅派と名乗らずとも菅氏によって出世の階段が用意される。脚本・演出共に菅氏側と考えれば、菅氏の権力への地道な努力が伝わる気がする。
もうひとつ見逃せないのが、大阪維新の会の吉村大阪府知事の「我々こそが菅派だ」という発言である(朝日新聞デジタル・フロントライン2019/8/3)。4月の統一地方選挙、衆議院大阪12区補欠選挙、6月の堺市長選挙、と快進撃が続く日本維新の会を戦略的に育て上げているのも菅氏ではなかろうか。
もともと維新の松井代表・大阪市長は、父親が岸信介氏の盟友笹川良一氏の身内的存在であったことから、かねて安倍総理と関係が深いと言われている。2012年9月の維新の国政進出の際、当時の安倍<元>総理に維新への合流と党首就任を要請した、という話もある。その直後、安倍氏は自民党総裁に返り咲き、同年12月総理に再就任するが、維新との関係はその後も続く。そんななか、なにくれと官邸と維新との間を取り持っていた苦労人・菅氏がしだいに比重を増していく。ついには維新幹部をして菅派と自認するまでに信頼関係を築き上げていく。菅氏ならば、自維連立も不可能ではない。
総裁2期を務めあげ3期目の任期が残り2年となった安倍総裁。安倍氏を神輿として担ぎ、御簾の中に心地よい言葉を囁く官邸という御側用人達のトップである菅氏は、もはや権力を手中にしたのだろうか。
さて、ここで「安倍四選もあるんじゃないか」とかねて主張する二階幹事長の存在である。北朝鮮ミサイルの発射に関して静観を決込む官邸・政府に対し、二階氏は自民党の「北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部」の会合で「看過できない」とした。会合は、岸田文雄政調会長ら党幹部が出席、 政府側は西村康稔官房副長官が状況説明を行ったとか。
これは菅vs二階の戦いの前哨戦ではなかろうか。奇しくも、あのNHKが終戦記念に昭和天皇の「拝謁記」について放送していたが、もはや、美濃部達吉の「天皇機関説」ならぬ「安倍首相機関説」で政治は動いているのではなかろうかと邪推してしまう。真の実力者が暗闘を経てその姿を表舞台に現わす時、どのような政治が待っているのだろうか?